2013年4月25日木曜日

Windows XPのサポート終了まであと1年! (その3)

気になるニュースが飛び込んできたので、はじめに。


Windows XP自体は既にかなり解析されており、実力のある組織なら単発のセキュリティパッチを出せないことはないと思いますが、永続的なサポートについては眉唾と考えたほうがよいでしょう。


国内でも以下の様な企業が現れました。こちらはXPサポート終了後、3年程のサポートを行うようです。


この件に触れたのは、今後この手の話が増えてくる可能性がある為です。非現実的な謳い文句をぶら下げて、コソコソと動きまわる輩(自称コンサルタントの類)が出てくる気がしています。変な売り込みには気をつけましょう。



で、前記事からの続きになりますが、根本的な対策は

「5年に1度は環境を見直す」習慣をつけること

です。この界隈は変化の速度が早く、5年先の最も有効な手段を想定するのが極めて困難な為です。


Windows以外のOSでも、比較的サポート期間の長いLinux(Ubuntu LTS, Cent OS)で5年、打ち切り時期こそ明言されていませんが、Mac OSは事実上2年程度のサポート期間となっております。どのOSを使用しても、ハードウェアが壊れるまで永遠に使い続けられる訳ではありません。


また、5年も経てば、OSベンダーの事業環境も大きく変化しており、サポート方針に変更がないとは限りません。今から5年前の2008年といえば、Softbankが国内でiPhoneを販売開始した時期であり、Android端末に至ってはまだ国内販売は開始されていませんでした。この事ひとつからも、2013年現在とは状況がまったく異なることがわかると思います。


5年に1度くらいは自組織の環境を見直し、PC等の備品購入時に「今後、どうしようか?」と考えてみましょう。なお、今から5年後の2018年は、Windows Vistaのサポートが終了済、Windows 7のサポート終了期限が迫ってきている時期です。

2013年時点での主なWindows
OSサポート終了時期
Windows Vista2017年4月11日
Windows 7
2020年1月14日
Windows 8  2023年1月10日


今頃、日本の少なくない場所で、こういった感じの提案書や稟議書が少なからず生産されているんだろうなぁ。



追記

仮想環境関連の話には意図的に触れていません。仮想環境自体のサポートや仮想環境評価の話に発展する為です。ある程度以上のリテラシーを持った方が、自分の責任の取れる範囲で使用する分には問題ないと思いますが...

2013年4月16日火曜日

Windows XPのサポート終了まであと1年! (その2)

前回からの続きです。なお、下記は非開発者向けの内容となっております。
Windows XPのサポートがあと1年! (その1)


Windows XPのサポート切れ対策ですが、大雑把に分類すると以下の通りになります。
  1. PCを買い換える
  2. PCを使い続ける (他のOSへ移行)
    • Windows XPからWindows 7/8へ移行する
    • Windows XPから非Windows OSへ移行する

1. PCを買い換える

利点

  • OS移行に伴う問題が最も少ない

欠点

  • 直接的なコストが大きい。買い換える台数が増えるとシャレにならない
  • Windows XP専用のソフトウェアが動作しない可能性がある

一番後腐れがない方法です。対象台数の少ない個人・零細企業向け。事務用途であれば高性能PCは不要なので、安いPCで十分でしょう。決算時期に買い換えると、法人向けセールや金利0キャンペーン等の施策が行われていて、比較的割安に済ませることができるのでオススメです。

Windows XP専用のソフトウェア等が動作しなくなる可能性はありますが、基本的に仕方が無いので割り切りが必要となります。しかし、ハードウェアを直接操作するアプリやInternet Explorer 6に依存するもの以外は案外動作します *1

*1 その場合、ウィンドウが半透明にならない等、見た目がおかしくなることがあります


Windows XPとの互換性を実現する「Windows XP Mode」 (@IT)


2. PCを使い続ける


2.1. Windows XPからWindows 7/8へ移行する

利点

  • OSライセンス代のみで済むため、買い替えよりコストを抑えられる

欠点

  • 初期~中期頃のWindows XP搭載PCでは動作しない、または快適に動作しない可能性がある
  • Windows XP専用のソフトウェアが動作しない可能性がある

Windows XPが発売された2001年頃のパソコンはCPUクロックが1GHz前後、メモリも512MB前後の性能であり、この程度の性能でWindows 7/8をまともに動作させることは厳しいと言わざる得ません。

因みにWindows 7/8のシステム要件(最低でも必要な性能)は以下の通りです。

上記の条件では最低限の動作しかできない為、CPUは2GHz、メモリは2GBは欲しいところです。一般向けPCが上記性能を満たすようになった時期が2007~2008年頃の為、これ以後に購入したPCならばOSのみのアップグレードを検討する価値はあると思います。

但し、この時期には既にWindows Vistaが発売されているので、Windows XPが搭載されているPCは法人向け等に限られると思われます。Windows XP専用ソフトウェアについては前述同様です。


2.2. Windows XPから非Windows OSへ移行する(Linux)

利点

  • 移行先にもよるが、基本的にOSライセンス代が不要

欠点

  • Windows用ソフトウェアは動作しない
  • 操作性等、Windowsと異なる部分が多く、間接コストがかさむ可能性がある


巷によく聞く「第3の選択肢」です。OSライセンス代が不要な点はよいのですが、基本的にWindowsのソフトウェア資産を放棄することになります。中規模以上で、既に業務の大半をWeb(ブラウザ)上で行える組織であれば検討の価値が大きい選択肢です。

しかし、現実にはExcelやWord等のMicrosoft Office製品(以下、MS Office)を使用、あるいは併用している組織が大半だと思います。幸い、Ubuntuや他のLinuxにはLibre Officeに代表される無料のOffice製品が付属されているのですが、MS Officeとは機能や操作が異なる為、MS Officeを使いこなしている人程、移行が苦痛となります。

正直、Excelで大量のマクロを駆使する、AccessやSQL Serverと連携させる、等の使い方をしている方にはオススメできません。Officeを使用する業務では、MS Officeでしか実現できない過程を見直す必要に迫られます。罫線の種別等、細部については割り切りも必要になるでしょう。

また、外部の助力を得る場合もLinuxエンジニアの方がWindowsエンジニアより高コストになりがちなので、注意が必要です。OSライセンス代以外の間接コストは、多くの方の想像より高く付く、と考えておくべきでしょう。


以下はLinux移行関連の代表的な事例情報です。

会津若松市 (ICT)
よく引き合いに出される、国内の代表的事例です。

箕面市が中古パソコン500台をLinuxで再生利用へ,サポーター企業を募集 (ITpro)
大阪府 箕面市の事例です。

独外務省、使用OSをLinuxからWindowsに戻す (スラッシュドット)
ドイツですが、LinuxからWindowsへ戻した事例です


長くなってしまったので、続きはその3へ

2013年4月11日木曜日

Windows XPのサポート終了まであと1年! (その1)

昨日、非IT系のお客さんと話していて話題になったので、その際に説明した内容を。

つい先日、NHKが「Windows XPのサポート期間が残り1年である」ことを報道したお陰で、この事が一般に広く周知されることになりました。但し、唐突にサポート終了するかのような印象を受ける報道内容が色々物議を醸しています。

[ 事の発端 (NHK) ]
XP期限まで1年 早めの乗り換えを

[ この件に関するMicrosoft公式の情報 ]

この件、よく「まだ、これだけ広く使われているのだから、サポートの再延長があるのではないか?」と聞かれます。サポート期間の再延長については、Microsoft社員ではないオイラには分かりかねます。
しかし、現在XPを取り巻く環境はこんな感じになっており、サポートする気を毛ほども感じません。

  1. Officeの対応状況
  2. Office 2013でXPがサポート対象外になりました。つまり、今後XPで 新しいOffice製品を使うことはできません。
  3. 開発環境
  4. Visual Studio 2012でXPがサポート対象外になりました
  5. アプリケーション実行環境
  6. ブラウザ
  7. Internet Explorer 9でXPがサポート対象外になりました。

*1 .NET Frameworkを使わなくてもアプリケーションの開発は可能ですが、次期Visual StudioでXPサポートは終了すると思われます
*2 最新ゲームを遊ばない方には問題ありません

つまり、Microsoftは徐々にXPからハシゴを外していた訳です。
でも、
「オレは新しいアプリ使わねーから関係ねーぜ!」
とか
「サポート終わっても、ういるすばすたーを入れておけば安全じゃん!」
とか言われる方もいらっしゃるかもしれません。
っていうか、言われました。
ワタクシからの回答は以下の様になります。

1. アンチウィルスソフトのサポート
Windowsの開発元であるMicrosoftがサポートを終了したOSを、他社がサポートすることは事実上不可能です。
実際、既にサポートが終了したWindows 2000で動作する現行のアンチウィルスソフトは存在しません。
以下は代表的な製品ですが、他の製品やフリーの製品も同様です。


そして、サポートを終了したWindowsがあっさりハッキングされる様子がこちら

【ハッキング】無防備のWindows2000をネットにつないでみた【キタヨ】

正確には、Windows XP SP2以降はファイアウォールを標準搭載していますし、
今時であれば、ルータ等を経由せずインターネットに直接つなぐことは少ないと
思いますので、ここまであっさりハッキングされることは無いかもしれません。
しかし、「まな板の上の鯉」であることには変わりありません。
いずれ似た末路を辿ることになるでしょう。

じゃあ、どうすればいいのよ? という話は次回にでも。